Queen's File12 vol.10 宇野弥生

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今年12月、全国初となる「GI賞金女王決定戦」が大村で開催決定!選ばれし12名だけが賞金女王(クイーン)への挑戦権を獲得できるこの大会に、出場有力な選手を紹介する「Queen’s File12」今回は、7月の「GII男女ガチンコMB大賞」で見事優勝!賞金ランク12位で賞金女王決定戦出場が決まった宇野弥生選手をキャッチアップだ!

今年の目標は「賞金女王決定戦出場」「優勝3回」「A1復帰」

—今年、第1回賞金女王決定戦が開催されます。賞金女王決定戦への思いをお聞かせ下さい。

もちろん出場したいです!ここ3年間は毎年、その年の目標を決めているんですが、今年は「賞金女王決定戦出場」「優勝3回」「A1復帰」の3つを目標として立てました。

—なぜその3つを目標にしたのでしょうか?

Queen's File 画像02まず一つ目ですが、賞金女王は年末に開催されますし、1年を通してモチベーションを上げる意味でもちょうどよい目標だと思いました。二つ目の「優勝3回」は、昨年優出5回というのを目標にしたら7回優出できたので、今年は昨年の優勝2回を上回るということで3回にしました。そして三つ目の「A1復帰」というのは、前期に達成できましたが、今は「本物のA1になりたい」という思いが強いです。A1に2期連続でなったことがないので、勝率を残してA1級をキープすることが当面の目標です。勝率を残して、準優に乗って、優勝戦に乗ることができれば、賞金の順位も挙がると思いますし、結果的にそれが賞金女王の出場へつながると思います。

—宇野選手は、史上最年少の16歳でデビュー。今年で選手生活10年が経ちました

10年経って、ようやく少し成長できたかなと感じます。デビューの頃に比べれば、大分落ち着いてレースに臨めるようになったのかなと…。昔は、気持ちがそのままレースに出てしまうところがありました。焦っているときは焦ったレースをしてしまうし、落ち込んでいるときは弱気なレースになったり。レース行く前に、冷静になれるようになりましたね。それでも、『昔よりは』という程度ですが。

—何か転機があったのでしょうか?

2年前に、2期連続F2を切ってしまったことが大きな転機でしたね。事故点がいっぱいで、思い切ったレースができない状況になってしまったんです。スタートも行けないし、すごくイライラしていたんですが、そんな中で、気持ちを抑えるというか、なんとなく自分のコントロールの仕方を覚えました。それから、先輩にいただいたアドバイスも大きかったですね。

—どのようなアドバイスだったのですか?

Queen's File 画像03事故が重なって、成績も落ち込んでいた時で「あー私ってこんなもんかな」と思い始めていた頃に、公私ともに親しい先輩の池田明美さん(静岡・80期)に「これでいいと思うなよ」と言われて、ハッとしました。他の先輩からも「実力以上のことをしようとするからいけない」とアドバイスをいただき、その頃は「もっとやれるはずなのに」という気持ちが先行して焦っていたので、その言葉をきっかけに「今できることをやろう」と気持ちを切り替えることができました。
当時は、攻めることを避けて、いつも差しにまわっていたり、弱気なレースになっていたので、「やっぱり自分の武器は、スタートと、握って攻めるレースだ」と意識し直して、強気なレースを心がけるようになりました。もともと握って回るレースの方が好きですしね。

—ここまで成績が上がってきた要因は何でしょうか?

ひとつは、恵まれた環境だと思います。私はグループにも入っていませんし、どちらかというと自分から積極的に人に聞くタイプではないので、そういう私の性格をわかって、周囲の先輩が、みんな声を掛けてくださるんです。デビューして10年間支えてくれた先輩がいたから、ここまで来ることができたんだと思います。ありがたいですね。そして、もうひとつは事故パン(=事故点が高く、レースで無理ができないこと)を経験したことですね。周りのサポートと、F2で事故パンになった経験から自分のコントロールの仕方を学習して、良い方向にいったことが好調の要因だと思います。

—昨年は初めてA1に昇格、GI地区選も出場しました。

Queen's File 画像04周りもすごい選手ばかりでしたし、出る前は緊張するのかなと思ったんですが、どちらかというと緊張もしなかったですね。目立った成績は残せませんでしたが、競ったレースもできましたし、すごく楽しくて。また頑張ってA1に残って出場したいなと思いました。

「姫」のルーツはここ大村にあるんですよ!

—昨年の2月、デビュー8年10ヶ月目、通算14回目の優出で初優勝されました。初優勝の前後で気持ちに変化はありましたか?

気持ちに変化はあまりないと思います。私はピンロクタイプですし、数を重ねていけば、いつかは優勝できると思っていたので、優勝ができない時期も、焦りはそんなに感じませんでしたね。基本的に「一発屋」なので(笑)

—初優勝を経験した感想は?

Queen's File 画像05初優勝のときは、フライング艇があったのでウィニングランも、表彰式もなかったのであまり優勝の実感が湧きませんでした。2回目に優勝した時は、ナイターだったのに表彰式にお客さんがたくさん残っていて、たくさん祝福してくれて、すごく嬉しかったですね。それで優勝を実感して泣きそうになりました。でも2回目もなぜかウィニングランが無かったです(笑) 私は今まで3回優勝しているんですが、実はウィニングランを経験したことがないんですよ!(注:この取材の6日後、4回目の優勝「大村GII男女ガチンコMB大賞」で見事『初ウィニングラン』を経験されました)

—ファンの祝福で、喜びを実感されたということですが、ファンの間で宇野選手は「姫」という愛称がすっかり定着してきましたね。

実は「姫」のルーツは、ここ大村にあるんですよ!大村でのレースの時に、私が1Rでバタバタして、時間がなかったんです。その時に周りの選手がユニフォーム、カポック、ヘルメットなど抱えて持ってきてくれて、至れり尽くせりのところを見て、横西奏恵さんが「姫みたいだね」と言ったのがきっかけです。みんなに覚えていただけるので気に入っています。このTシャツもファンの方がプレゼントして下さいました。

—今年は長期の休みが入っていますが、お休みはどのように過ごしていますか?

この前のF休みは、被災地のボランティアに行っていました。津波の被害にあったホヤの養殖場の手伝いや、被災したリフォーム前の家の掃除を手伝ってきました。被災地に行ってきて感じたのが、震災から1年以上経って、被災地に関する報道や話題も少なくなってきている一方で、小さくて地味な作業で、まだまだやれることはたくさんあるということです。震災直後は、選手会でも募金活動をしましたし、ガレキの問題も大きく報道されていたので、被災地のことを、私を含めて多くの方が意識していたと思うんですが、時間の経過とともに、そういう意識も薄れてしまったと思います。被災地を訪れて、小さなことでもまだまだできることがたくさんあると感じました。

—宿舎ではどのように過ごしていますか?

読書していることが多いですね。最近私、「成長したい願望」がすごく強いんですよ。選手としてもですが、人間として成長したいという気持ちが強くて、自己啓発本を読むことが多いです。それから旅行記のようなジャンルも好きで、よく読んでいます。

—ご自身でも旅行には、よく行かれるのですか?

アウトドア派なので旅行は好きですね。私の車が大きなバンで、後ろがベッドになっているんですよ。今度休みがあれば、コンロを持って行って、自炊して車に寝泊まりしながら1週間くらい旅しようと、マキ(長嶋万記 静岡・91期)と計画しています!

ローンを返済するまでは嫁にいきません!

—今年26歳、プライベートでは結婚を考えることはありますか?

実は来年、実家を建て替えようと思っているんです。祖父が建てた家で、とても古くて耐震的にも問題があるので、私が費用を払って新築しようと思っています。その家のローンの返済の目処がたつまでは結婚はしないと決めています。借金を背負って嫁にはいきたくないので(笑)

—すばらしい親孝行ですね。

いえいえ、私が仕事に行っている間に、地震が来て両親のいる家が潰れてしまったら絶対に後悔すると思って。家を建て替えるのは私が後悔しないためですよ。

—それではレースに話を戻します。賞金女王決定戦は、年間の賞金上位12名だけが出場できる舞台です。賞金女王ができたことで「賞金」に対する意識は変わりましたか?

直接賞金を意識するということはないです。ただ、この間1ヶ月休んだのですが、その1ヶ月で賞金の順位も一気に下がってしまったので、今までにないほど、F休みの1ヶ月を大きく感じましたね。と思っていた矢先に、また(Fを)やってしまいました…。

私らしいレースをしたいです。年末の大村で待っていてください!

—今年はここまで賞金9位。昨年も10位と出場圏内です。賞金女王決定戦への意気込みをお願いします。

女子王座のような大きな舞台でも、ようやく落ち着いて自分の仕事ができるようになってきたところです。今年は休みが多くて、厳しい年ですが、その分、走るレースは集中して、いいテンションで仕事を出来ればいいと思います。その結果として賞金女王に出場できれば理想ですね。「やるぞ!」と意気込むと悪い方に行ってしまうので、自分のペースを大事にして、私らしくレースをしたいと思います。

—宇野選手は、インタビューでよく「私らしいレース」という言葉を使いますが、具体的にはどのようなレースをイメージしているのですか?

スタートを行って、攻めるレースです。もともとは、自分に言い聞かせるために言い始めた言葉なんです。弱気なレースをしていた時期に、みんなの前で言った方が自分も気持ちが引き締まると思い、言っていたんですが、最近は浸透してきて、いつも言わなきゃいけないような雰囲気になってしまいました(笑)

—それでは最後に大村のファンに一言お願いします。

少しでもみなさんに楽しんでいただけるように私らしく走りたいと思います。大村のファンのみなさん、賞金女王で待っていて下さい!

取材日:平成24年7月9日

【取材後記】

取材を行ったのは「GII男女ガチンコMB大賞」の前検日の選手宿舎。レースの結果は御存知のとおり、見事優勝!優勝賞金の400万円を加算し、年末の賞金女王決定戦は早々に当確かと思われました。しかし、その後まさかのF2で11月までの長期離脱。最終的には賞金ランク12位とギリギリでの滑り込み出場が決まりましたが、本人は出場が決まるまでヒヤヒヤだったのではないでしょうか。インタビューで宇野選手本人が語ったように「一発屋」の一面は大舞台では大きな武器。MB大賞優勝戦でみせた、あの鮮やかなまくりを年末の大一番でも期待したいですね!

プロフィール

名前 宇野弥生(うの やよい)
登録第 4183号
所属 愛知支部
出身 千葉県
生年月日 S61年3月7日(26歳)
身長/体重 159cm/47kg
血液型 B型
登録期 90期
性格 超プラス思考・ガンコ(横西選手談)
好きな食べ物 卵・明太子・刺身・鶏肉
好きなスイーツ せんべい(とくに黒豆せんべい)
好きな戦法 まくり