Queen's File12 vol.03 向井美鈴

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今年12月、全国初開催となる「GI賞金女王決定戦」が大村で開催決定!選ばれし12名だけが賞金女王(クイーン)への挑戦権を獲得できるこの大会に出場有力な選手を紹介する「Queen’s File12」今回は、女子王座決定戦で2010年・2012年に優出、近況好調の山口のママさんレーサー・向井美鈴選手をキャッチアップだ!

「女子王座はもちろんですが、そこに賞金女王があるならめざしていきたいですね」

—年末に「第1回賞金女王決定戦」の開催が決定しました。初めての開催が決まりどのようなお気持ちですか?

Queen's File 画像02すごいのができたなって思いました。そんな競走ができるとは思わなかったですし、え〜いいの?賞金女王?女子選手だけで!?なんて思いました。『男性からブーイング出そうだね』なんて女子選手の間では話していますが、企画的にとても面白いと思います。産休から復帰してまだ本調子ではないですが、初めてのことなので、もちろん出てみたいです!今の目標は、女子王座ですが、そこに賞金女王があるのならもちろん目指していきたいですね。それにしても…そうそうたるメンバーの中で、私を取材していただけて光栄です。『なんで、向井?』ってなりませんか?(笑)

—優出した女子王座のあと、間もなく産休に入られていたので、復帰を楽しみにしているファンもたくさんいらっしゃったと思います。昨年6月から、仕事復帰をされていますが、復帰後はいかがですか?

どちらかというと、エンジンの整備力やテクニックがあるわけではなく、プロペラの調整だけでやってきた方なので、休んでいる間にプロペラも変わりましたし、そのあたりの仕上げがまだ時間がかかったりですとか慣れていないですね。レース勘も元通りには戻っていない気がしますが、大分良くなってきたと思います。

—復帰の時期は決められていましたか?

全く決めていませんでした。歳も歳ですし、もうそのまま続けて次を産もうかなとも考えていたのですが、長嶋万記(登録第4190号・昨年1月に出産)から「いつ復帰する?」と電話がかかってきて、もうそんな時期!?となって、慌てて復帰を決めた感じです。

—お子さんと離れるのはやはりつらいのでは?

去年の復帰したての頃は、仕事ができることも嬉しかったですし、まだそんなに表情も出ていなかったので、仕事の間は大丈夫でした。もちろん帰れば愛おしいですが。ただ最近は、すごく可愛くなってきたので、離れるのも辛いですし、レース場でたまに思い出してしまいます。ですが、考えても仕方ないので、仕事に来たからにはしっかりしないと、と思うようにしています。もう少し大きくなって、色々分かるようになるともっと辛いですよね。

—周囲にレーサーママ友や仲のいい選手はいますか?

もう周りはお母さんばっかりで、同じ山口の、佐々木裕美選手(4045 山口)や、片岡恵理選手(4014 山口)に分からないことがあったら聞きます。でも、大抵「もう忘れた」って言われます(笑)ですので今は長嶋選手が一番のママ友ですね。同期の片岡さんとは一番仲がいいです。ほとんどレース場で一緒ですし、プライベートでも、先日は子連れで泊まりに行きました。

—同期と言えば、堀之内紀代子選手(4011 岡山)が昨年から大活躍されています。出走回数が全選手中トップの337走、昨年は賞金ランキングは女子8位でした。

えー8位?本当ですか!? 知らなかったです…。もしかして頑張ったら(賞金女王に)行けるんですね!活躍は知っていたのですが、産休中は全然見ていなかったので…。そんな話もしていなくて、全く知りませんでした。堀之内選手は「何本獲ったら何のブランドが買える〜」みたいな事は毎回言っていますけど(笑) 彼女は自分へのご褒美が多いんですよ〜。まあ、そういうのがないと頑張れないですよね。

「目標とするレーサーはいません。目標にしてしまうとその人を超えられないと思うから」

—目標とするレーサーはいますか?

Queen's File 画像04目標などよく聞かれるのですが、それを決めると、そこまでしか行けない気がしますし、そのレーサーを目指すとそのレーサーを越えられないと思うので、あまり考えたことはないです。それよりもレーサーであるけれど、人として、きちんとしていたいというのはいつも考えています。

—それでは尊敬するレーサーはいますか?

瓜生選手は、選手としても凄いですし、人間としてもすごくいいと聞きます。記念レースでお会いした時に、すごく優しい方だなと思いました。みんなツンケンしているのに、余裕があるのか、ほんわかした雰囲気で…そんな人間でいたいと思います。

—休日はどのように過ごされていますか?

趣味はゴルフですが(ご主人はプロゴルファーです!)、今は自分のことは後回しですね。午前中は家事をしていると、アッという間に昼が来るので、お昼ご飯を食べに実家に行って、三時になったらコーヒー飲んで帰って、晩御飯の準備をして…といった感じです。どっぷり実家に甘えていますね。料理は好きなのですが、昼の1人分作るのは面倒ですし、食材を買っても使い切れずダメにしたりするので、実家にもらいます。

「『さすがプロゴルファーの嫁は上手いね』と言われるんですが、ゴルフは一切教えてもらったことはないです(笑)」

—趣味のゴルフにはよく行っているんですか?

主人との出会いがゴルフだったんですよ。始めたのもその頃ですね。最近は選手仲間とゴルフはあまりしないですね。女子王座の後の打ち上げのゴルフぐらいでしょうか。「さすがゴルファーの嫁は上手いね」と言われますが、一切教えてもらったことはないです(笑)。腕は普通だと思います。

—ご主人との出会いはゴルフを通じてだったんですね

新良一規さん(2930 山口)にお世話になっているのですが、新良さんの息子さんがゴルファーを目指すということで、主人がゴルフを教えていたんですよ。私もしたことがなかったので、新良さんに『ゴルフ行くからお前も練習しろ』と言われて行くと、息子さんを教えるために主人がいました。その前に、ペラ小屋のメンバーで焼き肉に行った時にも参加していたことがあって、その時に「はじめまして」と挨拶を交わしてから2年ぶりの再会でした。なんか良くみえちゃったんでしょうね(笑)

—ご主人の育メンぶりはいかがですか?

全然です!(笑)女性は仕事から帰って子どもの世話でまた大変なのに…と文句ばかり言ってしまいます。もちろん男性も大変だとは思うのですが。男の人ってオムツも変えなくて…。今は(主人を)しつけたので、してくれるようになりましたけどね(笑) 家事でも、洗濯はしてくれるのですが、料理はしてくれないので、家に帰れば、私がどっぷり主婦です。第2子ですか?すぐ次の子も欲しかったのですが、貯金もしないで休んでばかりだとダメですし、お金が貯まったらもう1人考えます。今は仕事を頑張りますよ。今年は『賞金女王』もありますし!

—さて、レースの話に戻りますが、2010年地元下関の女子王座で、GⅠ初優出。名実ともに女子トップ6に残りました。その経験を経て、気持ちの変化はありましたか?

頑張れば、自分でも出来るんだと思えました。でも優勝戦に乗っただけで満足してしまっていました、それだけが後悔です。女子王座を絶対に獲りたいという意欲がまだ足りず、気持ちが甘かったのだと思います。復帰してからは、また気持ちを入れ替えて、狙っていきたいと思っています。(注:取材後の今年3月の女子王座決定戦でも2回目の優出を果たしました!)

—大村は久しぶりの出走でしたが、印象・相性はいかがですか?

苦手です(苦笑)。なんか合わないんですよね。難しいです。1度掴めば、いけると思うのですが、まだそこまでプロペラも掴めてないですし、減音モーターが苦手です。でもボートレース場の雰囲気は好きですよ、特に2マークはのどかで、田舎な感じも地元の山口に似ていますし、いいですよね。カステラ大好きですし、お昼御飯も美味しいですし、来るのは好きなのですが、レース場でエンジン出なくて鬱になります(笑)。地元の宇部からも2時間半ぐらいで来られるので近いですよ。

—7年前、大村の女子王座を走った当時と、現在を比較して大村の印象は変わりましたか?

うーん、特には変わっていないです。ただ、私はレーススタイルが凄いわけでもないですし、テクも上がっているわけでもないですし、エンジンも凄く出せるようになったわけでもないのですが、気持ちの面では変わってきているのは感じています。当時は、目標にしていなかったことを、今は目標にしていたりだとか、目の前の、小さな目標をクリアしていくことによって少しずつ成長できているのかなと思います。毎節、優出はしたいと思って来ています。

「課題は整備力。第1回大会という記念すべきレース!是非出場してみたいです!」

—賞金女王の12名を見据えて、自分に求める事は何ですか?

Queen's File 画像03もちろんエンジン出しですね。昔からチビカバーの方が苦手で、デカカバーは得意だったのですが、デカカバーの大村はなぜか出なくて分からないんです。強い選手は、テクニックもありますし、どこの場に行ってもエンジンが出せているんだと思います。

—最後に、賞金女王決定戦に向けての意気込みをお願いします。

1回目というのは、価値がありますよね。大村で開催というのが引っ掛かっていますが…(笑)。第1回大会という記念すべきレース!是非出場してみたいです。まだ、復帰間もないので、無理しないように、出走回数を増やしながら頑張りたいと思います。

このインタビューは月刊『TURNMARK』2012年3月号に掲載したインタビュー内容に一部加筆したものです。
取材日:2011年12月9日

【取材後記】

取材の冒頭に「私でいいんですか?読者の方が何で向井?ってなりませんか」と謙遜されていましたが、年が変わって2012年。「母強し」を体現するかのように向井選手のリズムは急上昇!3月の女子王座決定戦では見事優出、そして5月の地元徳山での女子リーグでは待望の復帰後初優勝を飾りました。賞金加算も順調、4月からの新プロペラ制度も味方につけて、7月27日現在、賞金ランキングは7位と、このまま行けば、賞金女王出場は十分射程圏内です。「大舞台での勝負強さ」が持ち味の向井選手、賞金女王出場に期待しましょう!

プロフィール

名前 向井 美鈴(むかい みすず)
登録第 4017号
所属 山口支部
級別 A2級
出身 山口県宇部市
生年月日 S55年1月2日生(32歳)
身長/体重 152cm/44kg
登録期 84期
血液型 A型
趣味 ゴルフ
性格 わがまま
好きな食べ物 果物
好きなスイーツ ガトーショコラ
好きな決まり手 まくり差し