Queen's File12 vol.06 福島陽子

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今年12月、全国初開催となる「GI賞金女王決定戦」が大村で開催決定!選ばれし12名だけが賞金女王(クイーン)への挑戦権を獲得できるこの大会に出場有力な選手を紹介する「Queen’s File12」今回は、女子王座決定戦に18年連続出場中!チルト3度の使い手でもある岡山の福島陽子選手をキャッチアップ!

「賞金女王の開催は、私がデビューした頃からすると考えられないこと。女子選手として走っている以上は行きたい舞台です。」

—今年、第1回賞金女王決定戦が開催されますが、初めての開催が決まりどのようなお気持ちですか?

ここ数年、女子レースが注目されている中で「賞金女王」というタイトルを作っていただけたということは、女子選手として嬉しかったです。選手になって24年になりますが、デビューした頃は、女子は…というのがありましたし、男子のおまけのような存在でしたので、その頃からすると考えられないことです。時代は変わるもので、認めてもらえたというか、ありがたいことだと思いました。女子選手の人数が増えたこともありますし、全体的に技量が向上して切磋琢磨してきた結果だと思います。

—福島選手は、女子王座に16年連続出場!と長期にわたりコンスタントに出場されていますね。

毎年1つの目標が『女子王座に行く』ということで、また今年も頑張ろう!と思い、走ってきました。最初は、『出場したい』から始まり、連続で出られるようになると、準優に乗りたいなど意識も高まってはきたのですが、まだ壁を破れないところがあって結果に繋がっていないですね…。女子王座は52名ですが、賞金女王は12名しか出場できないので出場するにはかなりの努力が必要だと思いますね。

—現在(取材日の2012/4/23現在)獲得賞金726万円で、女子では18位の位置にいます。賞金女王の開催が決まってから賞金を意識されますか?

個人的にはしていないのですが、記者さんから聞かれることが増えて、ボート雑誌の誌面などで取り上げられるのを見ると、そんなに手が届かないところにあるものではなかったので、『あれっ?これは、どうにかすれば行けたりするかなあ』と思っています。せっかく新しく出来たビッグタイトルなので、女子選手として走っている以上は行きたい舞台です。

「山本泰照さんの娘さんと幼馴染で、『ボート選手は、お金持ちでいいなあ』と子どもながらに思ったことが、レーサーを目指したきっかけでした。」

—ボートレーサーになったきっかけは?

Queen's File 画像02元選手の山本泰照さんの娘さんと幼馴染で、よくお家に遊びに行っていていました。立派な家で応接間があって、トロフィーとか賞状がいっぱいあって、泰照さんに直接会ったことは無かったのですが、お父さんがボート選手と言うのは知っていて、「あー、ボート選手になったらお金持ちになれるしいいなあ、じゃあボート選手になろう!」と思ったのが、小学校3年生の時でした。当時レースを見たことはなかったですが、ボートレーサーになれば、こんなにいい家を建てて、お金持ちになれると子供ながらに感じるものがあったんでしょうね(笑)。試験は高校3年生の秋に受験して1回で合格しました。身長161cmで体格的にも不利でしたし、ダメモトだったので、「えっ!?受かっちゃった」と意外な感じでした。

—当時のレーサー養成所である本栖研修所に、見事一発合格されたわけですが、実際に入学してみてどうでしたか?

厳しいと聞いていたので、覚悟はできていました。中学のバスケット部の顧問の先生がかなり厳しかったので、本栖も厳しかったですが、想定の範囲内でした。途中で、帰らされそうになったことはありましたが、自分で辞めたいと思った事はなかったです。選手になりたい一心でしたので、どんな事を言われてもしがみ付いてでも選手になろうとは思っていました。

—選手としてデビューされてから24年になります。振り返ってみていかがでしょうか?

Queen's File 画像03デビューの頃は、年数とともに成績も走るごとに上がっていって…と思っていたのですが…。実際は、19歳で選手になって20代に入っても、自分の思ったようにレースが出来ないですし、結果がすべての世界なので、思ったようにできなくて伸び悩んで、プロの道は厳しいなと20代の頃はずっと思っていました。
30代になって、デビューから13年かかってようやく初優勝ができました。20代の間にも優勝戦には何回も乗ったのですが、自分では頑張ってるつもりでも、結果が出ていませんでした。30代になってすぐの頃は、今のレーススタイルや考え方ではダメなのかもしれないと思い始めた時期で、コース取りをインコースにこだわったり、試行錯誤しながらレースをしていました。そうしている間に優勝もできたので、考え方次第で結果が出るんだなあと思いましたね。

—選手になっていなかったら、何をされていたと思いますか?

第2の候補が体育の先生でした。身体を動かすことが好きだったので。次になりたかったのは調理師さんです。料理が好きとかではなかったのですが、そっちの方に進みたいと漠然と考えていました。

—お名前が、「ようこ」ではなく「よおこ」さんなのですね。

母が、太陽のように元気な子に…と思ったらしいのですが、ようこさんという方はたくさんいるので、ちょっと違ったようにと思って“お”にしたらしいです。私は気に入っているのですが、よく「間違っていますよ」と言われたりします(笑)

—休日はどのように過ごされていますか?

趣味の生け花に通っていることが多いです。18年続けていて、先生になれるぐらいの免状はいただいているのですが、その域には及ばず、奥が深いので難しいですね。先生からは、生け花をしている時は『静』、レースをしている時は『動』など精神的な道のことをよく学びます。集中力もいりますので、生け花とボートは全く違うようですが、道を究めるという意味で、いい影響があるかなと感じています。

「チルト3度は『ああやって勝てたら気持ちいいだろうな』という軽い気持ちで始めました(笑)でもチルト3度のおかげで、レースの幅が広がりましたね。」

—福島選手といえば、ここ一番でチルト3度を使って勝つ器用なイメージがあります。チルトを跳ねようと思ったきっかけは何だったのですか?

Queen's File 画像04阿波勝哉選手(東京)や澤大介選手(三重)が6コースから伸びてまくって勝つのを見た時に、自分もああやって勝ちたいな、気持ちよさそうだなと思ったんです。見ていてそう思うのだから、自分がやって出来たらもっと楽しいだろうなと、ちょっと安易な発想ですね(笑)。4年くらい前の同期会で、チルトを跳ねる話になった時に、(チルト3度の使い手である)矢後剛選手(東京)に「やりたいなら、プロペラ作りにおいで」と言われたのですが、結局時間が合わなくて、そうしたらチルト3度用のものを送ってくれたんです。それをきっかけに始めました。同期の矢後選手や小川晃司選手(福岡)は、よく6コースの走り方のアドバイスをくれますし、そうやって同期がいてこそチャレンジできるので、ありがたい存在ですね。

—チルト3度を使い始めてから自身の気持ちやレーススタイルはどのように変わりましたか?

今は不利枠の時に、一か八かの1つの武器として使っていますが、チルト3度を使うようになってからレースに対する視野や幅が広がりましたね。以前は、6コースから負けるとコースも遠いし、仕方なかったなという気持ちでしたが、好奇心で始めた外からのレースも、オッズが下がったりするのを見ると、『えっ、勝った事ないのにお客様は買ってくれるんだ』と思い、期待に応えたくなる気持ちも芽生えましたし。はじめはチルトを跳ねる事だけで満足していましたが、負けたら悔しいと思えるようになって、勝ちたい!という気持ちも強くなりましたし、たまにしか勝てないですが、勝てた時は嬉しさも倍増します。新ペラ制度になってからもチャレンジしていきたいと思います。

「近況は自分の中では右肩上がりだと思っています。名人戦まではがんばりたいですね。」

—新しい事に貪欲にチャレンジし続ける福島選手ですが、ボートレーサーはいつまで続けたいですか?

Queen's File 画像05選手はできるまで続けたいですね。「もういいや」とか「悔しい!」と思う気持ちがなくなったら、その時が辞める時なのかなと思います。自分ではこんなに長く走れるとは思っていませんでしたが、今年の前期が今までで一番成績が良かったんですよ!進化というか、自分の中ではゆるやかですけど右肩あがりだと思っています。まだまだ、もうちょっと上に上がれるんではないかとも思いますし、こんなターン自分でもできるんだ!とか、今でも初体験がたくさんありますしね。いまはまだ頭に無いですが、寺田千恵選手(岡山)とは最近、名人戦までがんばろうという話をしました(笑)

—賞金女王の舞台は大村ですが、いかがでしょうか?

最初は成績も良くないことが多かったのですが、走る回数を重ねていく度に、レース場の特性も分かるようになってきたのか、相性も以前よりも良くなってきたと思います。景色もいいですし、のどかなレース場で好きですね。ボートレース発祥の地というのも、第1回賞金女王の舞台にふさわしいと思います。

—最後に大村賞金女王に向けての意気込み、ファンに向けてのメッセージをお願いします。

プロペラ制度の変更については、私は不安よりは期待が大きいです。今後はエンジン差が今までよりも出てくると思いますので、整備力をつけたり、プロペラはもちろんですが、色んなことに順応できるようにしたいですね。例えば、エンジンの性能に合わせたコース取りをするだとか、臨機応変に、エンジンに自分を合わせるような調整が出来るように考えています。賞金女王出場には、まだ圏外ですが、頑張ればもしかしたら届きそうな感じですし、新たな気持ちで、早く新制度を自分のものにして、チャレンジしたいと思います。12名の枠に入れるように一走一走大事に、一つでも着をあげて賞金をたくさん稼いで、行けるように頑張ります!!

取材日:平成24年4月26日

【取材後記】

落ち着いた語り口ながらも、レースに対する思いを真摯に、そして熱く話してくださった福島選手。ベテランと呼ばれるキャリアになってもなお、チャレンジを惜しまず進化をめざす姿勢が強く伝わってくると同時に、その姿勢が近年の成績上昇を支えている要因だと納得させられたインタビューでした。10月20日現在、福島選手の女子賞金ランキングは19位。賞金女王にチルトMAXで参戦!となれば、予想や、舟券戦術に幅がでること間違いなし。そういった意味でも大会を大いに盛り上げてくれる福島選手の出場を期待しましょう!

プロフィール

名前 福島 陽子(ふくしま よおこ)
登録第 3357号
級別 A2級
出身 岡山県岡山市
生年月日 S43年11月8日生(43歳)
身長/体重 162cm/48kg
血液型 O型
登録期 62期
趣味 生け花
性格 楽天家
好きな食べ物 茶碗蒸し(具は銀杏が一番好きです)
好きなスイーツ あんこ、クリーム系、モンブラン
好きな戦法 まくり